旅の案内人・リターンズ

「NPO江戸東京文化研究会」のスタッフ日記です。観光案内にないような話も…

2017年09月

花川戸・姥ヶ池

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浅草寺の東側の門「二天門」を背にして隅田川方面に歩くと「台東区産業貿易センター」に隣接の「花川戸公園」があります。この公園内のる「姥ヶ池」は明治24年に埋め立てられるまでは隅田川まで繋がる大きな池だったそうです。「姥ヶ池」には浅草寺の子院・妙音院の伝承に恐ろしいお話が残っています。…【この周辺が浅芽ヶ原(あさじがはら)と呼ばれていた頃、老女と若い娘が住んでいました。娘が旅人に宿を貸すと言って家に連れ込み”深夜になると老女が旅人を殺し金品を剥ぎ取ってしまう”といった手口で殺害された旅人は999人まで増えていきました。1000人目の客としてこの家に泊まったのが観音様が変装した若者でした。老女はいつものように深夜にこの若者を殺して、のはずだったのが殺害したのは自分の娘。嘆き悲しみ悪行を悔やんだ老婆はこのとき仏眼を目覚め、自らを龍の姿に変えて「姥ヶ池」の中に消えて行ったそうです】…というの伝説なのですが、東京都教育委員会による解説板に記載では微妙に異なっています。Pt↓)がその池なのでしょうが、祀られている社には「福寿稲荷大明神」とありました。この公園には歌舞伎の『助六歌碑』やら『履物問屋街発祥碑』なんてのもあります。
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京橋・警察博物館・・Ⅱ

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見落としていましたが平成28年4月から休館していた中央区京橋3丁目の『警察博物館』が平成29年4月末にリニューアル・オープンしていました。どうやら外装と耐震構造の工事だったようですが確かに館内は小奇麗になっています。正直に云わせていただくと【警視庁の歴史と活動に関する資料を展示】としてあるいう割には・・・。警察の仕事内容は悪用を恐れて秘匿する部分が多いのは理解できますが、『警察博物館』を名乗る割のには浅い感じがで、大人にはお勧めできません(苦笑)。2016年の記事項と比べると・玄関の”ピーポ君”撤去。・玄関の白バイがパトカーに昇格。1Fの儀仗用の側車(サイドカー)は2台とも撤去となっています。側車なんざぁそうは見られる車両ではないので残念ですね。
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明大博物館・刑事部門・・Ⅱ

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久し振りに「明治大学博物館」へ立ち寄りました。確認すると2012年07月以来となります。この博物館は考古学部門等々の展示も高レベルですが、刑事部門での江戸時代の拷問や処刑の展示、ギロチンやニュルンベルクの鉄の処女などの展示は特に貴重です。笑えないのが博物館に一番来ないのは明治大学の学生だそうで、まぁそんなものなのでしょう。Pt↑)は前回撮影したものです。中央の白黒写真は「暗闇坂の磔写真」として有名なもので、明治2年に英国人により横浜の戸部監獄で処刑され暗闇坂刑場に晒された強盗団の写真です。上段は磔の写真で下段は獄門首が写っています。もともとは外国人向けの日本土産だったのですが日本の刑罰史では貴重な写真なのです。
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それがですねぇ・・
、今回訪れるとこの2点の白黒写真が外されていました。理由を聞いたところ『写真が気持ち悪い』との意見があったそうです。部外者ながら「その馬鹿野郎を呼んで来い。重々説教してやる」という気持ちになります。たった150年前に日本で現実に行われた刑罰で、軟弱なTV局なら放送禁止となる事例だからこそ展示する価値があるというモンで、だいだいが明治大学ってには法律学校だったはずで、それを『気持ち悪いと・・』から撤去とは情けない限りです。正直本当に腹が立ちました。だもんで撤去された写真を再度掲示してみます。

大久保利通惨殺現場

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内務卿大久保利通。明治11年(1878)5月14日午前8時頃、自宅(千代田区永田町・現内閣府辺り)を出た大久保は赤坂の仮御所(現迎賓館)に参内するため馬車で出発、現清水谷公園の現場で石川県士族の島田一郎らに襲撃され頭を中心に16ヶ所も切られ即死しています。止めの短刀は喉を貫いて地面に刺さったというのですからまさに「惨殺」です。島田一味は『ひそかに皇国の時状を熟察するに、およそ政令法度上 天皇陛下の聖旨に出に非ず 下衆庶人民の公議由るに非ず 独り要路官史数人の臆断専決する所に在り』と大久保への斬姦状に記載しています。Pt↑)は実際の現場近くの清水谷公園に造られた「紀尾井坂の変の石碑」です。正直管理が最低です(!)。草ぼうぼうの荒れ放題とは、ここでも大久保利通の不人気ぶりを象徴している様です。
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島田一味の暗殺計画には木戸孝允・岩倉具視・大隈重信・伊藤博文・黒田清隆らがあがっているのですが、毎時11年、西郷と木戸はすでに亡く、大久保が殺害されたことで一新の大物はいなくなります。伊藤博文は37歳、大隈重信40歳、山縣有朋40歳。ということは誰が一番得をしたかというと・・。『木戸さんも西郷も長州の先輩達も皆逝ってしまった、大久保がいなくなれば俺たちの天下だ・・』と武士でもない下層階級出身の高杉の使いパシリが後ろで糸を引いたのかも知れません。因みに犯人は2ヵ月後に処刑となっています。
事件のあらましが記載された案内板も劣化が激しく、表面のコーティがボロボロです。鹿児島中央駅近くには「大久保利通像」がありますが、なんと造られたのは没後100年(!)の昭和54年(1979)の事です。西郷に比べてつくづく不人気のようです(苦笑)。

浄瑠璃坂の仇討

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忠臣蔵・赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件はあまりにも有名ですが、遡る事29年前に「あれぇ~」と思う事件が、現在の新宿区市谷砂土原町の「浄瑠璃坂」で起こっています。発端は宇都宮藩・前藩主の法要で起こった口論なのですが、話が長くなるので割愛します。寛文12年2月3日(1672)に恨みを果たすべく42名の浪人が敵が身を寄せる武家に討ち入った事件で、生憎と敵は不在でしたが引き上げる途中の牛込御門(飯田橋駅付近)で更なる乱闘となり、結果討ちとっています。吉良邸事件と異なるのは、討ち入った当事者達は死罪を免れて伊豆大島へ流罪、赦免後は井伊家に再就職となったいます。情報通の大石内蔵助がこの前例を知らないはずはなく、吉良邸事件の作戦計画では大いに活用したと思われます。メンバー選定では『大丈夫!浄瑠璃坂の前例があるから切腹はないよ』と気乗りしない仲間を巻き添えにしたのかも知れません。
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東京メトロ市ヶ谷駅5or6番から地上へ出ます。少しクランク気味ですが「浄瑠璃坂」の坂下です。坂の説明には事件の記述はありません。この急な坂道を登りきった辺りが討ち入りの現場なのですが、それらしきモノはなに一つありません。新宿区の指定史跡の解説板にしても平成28年12月に設置されたものです。

文京区・こんにゃく閻魔

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文京区小石川の浄土宗・源覚寺です。どちらかというと「こんにゃく閻魔」の方が有名でしょう。久しぶりの参拝ですが、境内が小奇麗になっていました(苦笑)。文京区の指定有形文化財となっている閻魔像は鎌倉時代の作品とされています。判りにくいにですが閻魔像は右眼が黄色く濁っています。これは昔、眼病を患った老婆が寺の閻魔大王像に祈願し続けたところ、夢の中に閻魔大王が現れ、「満願成就の暁には私の片方の眼をあなたにあげて、治してあげよう」と告げたという。筋書き通りに老婆の眼は治り、感謝の印として好物の”こんにゃく”を断って閻魔大王に供え続けたという伝承によります。これによりこの閻魔王像は「こんにゃくえんま」「身代わり閻魔」の名で人々から信仰を集めているそうです。現在でも絵馬などを見ると「眼病治癒祈願」が目立ち、閻魔堂には「こんにゃく」が供えられています。閻魔堂右には、これも『自身の治したい部分に相応するところに塩につけるとご利益があるという』塩地蔵尊があります。立木の補強材に樹脂が塗られグロテスクです。まぁ地蔵尊は見事に塩漬けになっています。
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小石川・伝通院(傳通院)

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文京区小石川の「伝通院」は浄土宗の寺で正式名称は「無量山・傳通院・寿経寺」です。徳川将軍家の菩提寺として知られ山門には葵の紋が付けられています。この日は仏事がおこなわれており写りこみを避けていますが、再建された山門は平成24年の完成です。
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山門脇には「不許葷酒入門内」=酒気帯びで入ってはなりません=の碑やら、新撰組の前身である清川八郎による「浪士隊」の結成の地やら上野戦争の「彰義隊」結成の地である旨の案内板があります。春日通りから山門に至る途中には浪越徳次郎氏の「日本指圧専門学校」があります。
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古刹という事もあり多くの有名人が傳通院に埋葬されています。徳川将軍家縁の方々や幕末勤王の志士・清川八郎。詩人の佐藤春夫。作家の柴田錬三郎。指圧の浪越徳次郎等・・。Pt↑)は「岡村三右衛門と呼ばれたイタリア人」宣教師・ジョセフ・キアラの供養碑です。鎖国時代の宣教師として日本に潜入、幕府に捕えられキリスト教を棄て、以後は日本人「岡村三右衛門」として生きた方です。
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慶長7年(1602)に京都伏見城で死去した徳川家康の生母「於大の方」の遺骨は遺言により江戸へ運ばれ、家康により菩提寺が各所に造られています。「傳通院」の名称も「於大の方」の法名『傳通院殿』によります。徳川秀忠の娘(家康の孫)の「千姫」や徳川家光の正妻「鷹司孝子」など徳川将軍家縁の方々が埋葬されています。
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