221217_01
上野公園の西郷隆盛像、靖国神社の大村益次郎像と共に東京の三大銅像とも云われる楠正成(楠公)像です。この銅像は住友財閥が四国の別子銅山の開坑200年記念に献納したもので、原型作成に3年、完成には10年の歳月を費やして1900年に完成しています。実際の製作はかなりの分業化ですが中心となるのは楠公が高村光雲、馬が後藤貞行と上野の西郷像と同じチームです。
・・・・・・・・・・・・・・
221217_02
この銅像には多くの特徴点があります。国内の多くの銅像は中が空洞なのですが、この銅像は中まで銅が詰まっていて総重量は6.7tもあります。この重量を馬の足だけで支えているバランス感覚はお見事です。一般的な銅像の場合は碑文がある方が正面なのですが、正面から見ると楠公の顔が見えないという珍しい形式となっています。正面に顔を向けると皇居に尻を向けることになり礼を失する事からの造りのようです。
・・・・・・・・・・・・・・・
221217_03
さらに妙な点は、この楠木正成像の姿は正慶2年(1333)に、後醍醐天皇が隠岐の島から戻られるのを出迎えた時の姿を元にしています。天皇家が南朝と北朝に分裂していた時代ですが、現在の皇室は北朝系、つまりは敵方の侍大将が「皇居で変事が起きていませんか?」と警戒中構図という事になります。さらには楠公の姿は多くの肖像画があるようなのですが、高村光雲の表現した表情がどの肖像画とも違うとの指摘もあります。後藤貞行作の「馬」の尻尾の表現には多くの批判があったようです。
・・・・・・・・・・・・・
221217_04
楠公のある場所は都内でも有数な観光バスの駐車場があり、コロナ禍以前は多くの中国、韓国、ベトナムからの観光客で賑わっていました。このところは徐々に海外の観光団が増えてきたような感じがします。