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千葉市中央区の「千葉神社」は『妙見本宮』とも称される妙見信仰の有数な神社です。妙見信仰は古代バビロニアに始まりインドで菩薩信仰となり、さらに中国で道教の北極星信仰と結びついて日本に伝来した信仰です。北極星を神とする北辰妙見菩薩の信仰なのですが、この北辰妙見菩薩の「菩薩」は仏教での「菩薩」とは異なるグループに属する菩薩で帝釈天、毘沙門天等の「天」のグループへ所属します。ややこしさその(1)です。
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飛鳥時代に渡来人により日本伝来、東日本へ広まります。日本ならではの『習合=見なされ』により、軍神、薬師如来、平将門伝承、隠れキリシタンのデウス等々に見立てられる事ととなり、江戸時代には古事記、日本書紀による「天之御中主大神」と「北辰妙見尊星王」は同一と見なされ「妙見信仰」として確立したようです。北斗星信仰、道教、密教、神道が入混じり「お姿」も一定していません。玄武(亀)に乗る鎧武将の姿として知られています。ややこしさその(2)。
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千葉神社は下総の豪族千葉氏により長保2年ごろの創建とされ、鎌倉幕府、徳川幕府からも信仰を受けています。江戸時代までは「北斗山金剛授寺尊光院」という真言宗の寺院でしたが、明治政府による神仏分離(廃仏毀釈)により神社となり、市最新は日本神話での「天之御中主大神」となります。あまり知られていない神様ですが、名前が「神」であって「尊」や「命」ではありません。それなりに格のある神様なのです。 ややこしさその(3)。
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『妙見様(みょうけんさま)』とも呼ばれる『北辰妙見尊星王=天之御中主大神』は北辰(北極星と北斗七星)の神霊として古来より諸星諸神・方位方角を支配し、人々の「厄」を取り除くとされます。道教・陰陽道・易学・九星気学・風水学が混じった特別な神で、日本神話での「天之御中主大神」は天照大御神以前の最初の天地創造の「造化三神」の一神です。日本書紀の登場は一度限りで功績もよく判らない神ですが「天地創造の神」として妙見菩薩と習合したのでしょう。
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社額の「妙見」の下方の丸い紋章は「神紋・三光紋(さんこうもん)」or「月星紋(つきぼしもん)」と呼ばれ、妙見様(北極星)の差配する天空の日・月・星(じつ・げつ・じょう)の三つの光を表します。Pt↑)は拝殿の扉部分で、お馴染みにハートマークならぬ「猪目」があります。ここにも「神紋・三光紋」があります。神紋の他に社紋として九曜紋があるのですが今回は事情によりパスです。
猪目は魑魅魍魎が侵入を防ぐ為の様式です。「ハート・マーク」などはあり得ません。