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栃木県には「二荒山神社」という祀神も由来も異なる神社が二社あります。日光市が二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)で宇都宮市が二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)と二社は読み方が異なり、日光or宇都宮のタイトルをつけて区別しています。『延喜式神名帳』に「下野河内郡・式内社・一之宮」と記載ではピンポイントで場所の特定ができず議論となってきました。明治政府は明治4年に日光を式内社としますが明治16年には宇都宮も式内社となり、現在は両社とも「式内社・下野一之宮」となっています。ここにも一之宮論争がありました。
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JR宇都宮駅から徒歩10分(馬場通り1丁目)。いきなり大鳥居がデンと現れます。2008年に建替えられた鳥居で直径約90㎝の欅材で高さ約9.7m、幅約13.8mの両部鳥居です。社標には「式内大社 二荒山神社」の文字が入っています。鳥居後方広場の先にチョット待ってよの石段が見え(苦笑)この上に社殿があります。
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石段を登りきると左右に回廊を巡らした神門です。菊花紋章が設えられた雰囲気のある建物です。遥か昔は社殿は20年毎に建て替えられたようですが、数度の火災や宇都宮戦争で焼失を繰り返し現在の社殿は明治10年に建てられたもの、という事は太平洋戦争での空襲での焼失を免れたのでしょう。
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宇都宮は二荒山神社の門前町として栄えた街で、神社は河川が合流する地の山(明神山)に鎮座しています。もっとも元宮はここでなく後に遷座したようです。神門から見る大鳥居の先が宇都宮城址です。神社から城の内部が丸見で敵方がここに陣を張ったら溜まったもんではありません。
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神門を入ると右手に舞殿、左に手水舎、正面に拝殿と広々としています。毛野国が下野と上野に別れた約1600年前、下野国国造(第10代水神天皇の子)を下野・上野国の祖「豊城入彦命」として祀ったのが創建のようです。相殿には「大物主命」とその子供の「事代主命」が祀られています。
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神門内にも初辰稲荷神社や十二社(下野国の式内社の神)などの境内社があります。気になった摂社が2社ありました。一つは拝殿右の面白顔の狛犬を擁した「須賀神社・市神社」です。祀神は須賀神社が素戔嗚命(3社目です)、市神社は大市姫命。要は夫婦ですがこの社殿だけ妙に立派なのは元々はは違う神が…と疑問が湧きます。
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もう一社が本殿に組み込まれた様に建つ「女体宮」です。ご祀神は三穂津姫命(みほつひめ)で大物主命(大国主命)の奥さんです。この社殿の造りは出雲大社の大国主命の正面参拝位置を彷彿させます。旦那と子供が祭殿で奥さんだけ別とは、大宮氷川神社とは様相が違うようです。
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90段ほどの石段途中には左右に境内社が並んでいます。向かって左には剣宮(素戔嗚命)・菅原神社(菅原道真)・十二社(国常立神など)が右には松尾神社(大山咋神・中津嶋姫命 )・荒神社(素戔嗚命)・水を司る水神社(罔象女神/みつはのめのかみ)などがあります。国常立神はその他大勢と一緒に祀られ、栃木県に中津嶋姫命(宗像三女神)は意外な気がしないででもありません。
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