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秩父の「秩父34ヶ所観音霊場」の札所巡りは有名ですが、それとは別に三峯神社・秩父神社・宝寶山神社を巡る『秩父三社巡り』なる企画もあるようです。まとめてみると…。【三峯神社】は a)山犬(オオカミ)に導かれた日本武尊命が三峯山中に伊弉諾、伊弉冉の神を祀ったのが始まりとし、時代を経て b)日光山系の修験者が修行中に狼に遭遇「これは神託だっ」と閃き、ここから c)江戸時代には修験者によりオオカミを眷属とする信仰が確立し、『火災除け・盗賊除け』人気の三峯講が各地で組織されて「お犬様信仰」として現代に続きます。つまり伝承は3部内容で成りたっています。
日本武尊、伊弉諾・伊弉冉の伝承よりも江戸時代以降の修験者らによる「三峯講」が主となっています。
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【秩父神社】
は秩父地方の総鎮守で武蔵国四之宮です。ご祀神の八意思兼命(おもいかね)は日本神話では知恵・思考・思慮の神で知知夫彦命(ちちぶひこ)は八意思兼命の末裔で秩父の国造です。天之御中主神(あめのみなみぬしのかみ)は、古事記に「天地開闢時の最初の神」とあり、秩父宮雍仁親王は昭和天皇の弟君です。つまりは『
日本武尊東征』との関係は薄いようです。明治以前の秩父神社は鎌倉時代からの「妙見菩薩信仰・秩父大宮妙見宮」として有名でした。北極星を崇める妙見信仰は古代バビロニア、インド、中国をへて飛鳥時代に日本と伝来した仏教色のある信仰です。三峯神社にも妙見信仰の時代があったようなので秩父では妙見信仰のほうが盛んだったのかも知れません。
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創建伝承からすると【宝寶山神社】が判り易いようです。祀神の大山祇神(おおやまつのかみ)は
伊弉諾、伊弉冉の子で担当は「山」です。眷属の山犬(オオカミ)が日本武尊と同行していると山火事に遭遇、火災は眷属の活躍で事なきを得ます。火を止めた山から火止山⇒宝登山となり、伊弉諾、伊弉冉の子で「火」担当の火産霊神/(かぐつちのかみ)が祀られます(ついでに神武天皇も)。この伝承の方が山犬(オオカミ)信仰の始まりとしてはスッキリします。三峯講の火災除けはこの伝承の流用のようで、オオカミが唸れば盗賊は逃げます。三峯講が江戸で盛んになるには(三峯の)優秀な営業マン(修験者)の判り易い宣伝広報活動によるものでしょう。また古代のヨーロッパには犬=神の使いとする信仰があったようで「妙見信仰」として秩父に辿り着いたのかも知れません。